調査票テンプレート・サンプル|
調査票作成の基本と注意点も解説

27 october.2022 / 調査手法

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マーケティングや商品開発のためのデータ収集にアンケート調査を活用するケースは多いでしょう。しかし、調査票の作り方次第で調査結果が大きく左右されてしまうため注意が必要です。

本記事では、調査票作成の基本と注意点を紹介するとともに、各種調査票のテンプレート・サンプルをまとめました。ぜひ参考にしてください。

調査票作成の基本

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まずは調査票を作成する際に押さえておきたい基本を見ていきます。

調査項目の分類

調査票を作成する上で重要となるのが調査項目の設定です。調査を実施する目的を整理した上で、誰を対象にどのようなデータを収集したいのか、そのためにはどのような調査項目を設けるべきなのかを整理します。

例を見てみましょう。

●調査目的:
顧客満足度を多角的に確認して自社の課題を特定する。商品・サービスの改善やプロモーション施策に活用する

●調査対象者:
商品Aの購入者(直近1年以内)

●集めたいデータ:
┗総合満足度
┗機能やデザイン、価格などの要素別満足度
┗利用場面やよく使う機能による満足度の差異

●調査項目:
┗購入経験(スクリーニング用)
┗基本属性(性別・年齢・居住地)
┗総合満足度に関する設問
┗要素別満足度に関する設問(機能・デザイン・価格・耐久性・アフターサービスなど)
┗商品Aの利用方法に関する設問(利用場面、利用機能など)

上記例のように順に整理していくことで、調査項目の抜け漏れがなくなり、調査結果を次のアクションに有効活用できるようになります。

回答形式の種類

求める調査結果を得るためには、適切な回答形式を選ぶ必要があります。また、回答者の負担が大きくなりすぎないように留意することも大切なポイントです。

代表的な回答形式の例を以下に挙げるので、参考にしてください。

回答形式 特徴
単一回答
(シングルアンサー)
  • 選択肢の中から1つのみ選ぶ形式
  • 複数選択にすると矛盾が生じる場合に使用する
複数回答
(マルチアンサー)
  • 選択肢の中から該当するものを複数選択できる形式
  • 全選択する場合と、「3つまで」のように制限する場合がある
自由回答
(フリーアンサー)
  • 文章や単語、数字などを自由に記入してもらう形式
  • 選択肢を作るのが難しい場合や、回答者の言葉を重視したい場合などに有効
  • 回答者の負荷が高まるため、設問数に注意が必要
評定尺度
  • 5段階や7段階などの尺度から、もっとも当てはまる度合いを選んでもらう形式
  • 感覚や程度などを定量的に把握したい場合に有効
    (5段階評定の例:非常に満足・やや満足・どちらともいえない・やや不満・非常に不満)

調査票の構成

調査票の構成を検討する際は、回答者が答えやすい順番を意識することが大切です。以下のポイントを押さえておきましょう。

●全体的なことを問う設問→個別的な設問の順に聞く
「総合的な満足度→各要素の満足度」というように、全体→詳細の順に聞いていくのが基本です。

●物事の流れに沿って聞く
たとえば、購買プロセスを調査する場合は「認知→比較検討→利用→評価→継続意向度」とプロセスに沿って順に聞いていきます。また、「過去→現在→未来」のように時間の流れに沿って質問することで、回答者が答えやすくなります。

●関連する項目は続けて聞く
関連する項目はできるだけ続けて聞いたほうが、スムーズに回答しやすくなります。

調査票のテンプレート・サンプル

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ここからは、各種調査のテンプレート・サンプルを調査票作成時のポイントとともに紹介します。

ブランド認知度調査のサンプルとポイント

ブランド認知度調査では、純粋想起(ヒントを一切与えない状態で真っ先に思い浮かぶブランド)と助成想起(選択肢などのヒントを与えたときの認知度)の2つを指標とすることが多くなっています。設問を設定する際は、バイアスが生じないよう「純粋想起→助成想起」の順に聞きます。

また、普段から情報を得ているチャネルと自社商品の認知チャネルを聞くことで、プロモーション施策に活かすことができます。

<純粋想起>
Q. ○○(商品ジャンル)と聞いて、最初に思い浮かべるブランド名を教えてください。
<助成想起>
Q. ○○(商品ジャンル)で、あなたが知っているブランドを以下の中から全て選んでください。(助成想起)
<情報収集手段>
Q. あなたは○○(商品ジャンル)について、どこから情報を得ていますか。
<認知経路>
Q. あなたが○○(ブランド名)を知ったきっかけを次の中から選んでください。

ブランド認知度調査・ブランドイメージ調査 |
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コンセプト調査のサンプルとポイント

コンセプト調査は、商品・サービスのコンセプトがどれくらい市場で受け入れられる可能性があるのかを把握するために行います。複数のコンセプト案を提示して、評価してもらう形が一般的です。

コンセプトを評価してもらう際の軸には、次のようなものがあります。

  • 購入意向度(受容性)
  • 魅力度
  • 新奇性
  • 独自性
  • 信頼度
  • 理解度

自社が確認したい評価軸を検討するとよいでしょう。

<絶対評価:単独のコンセプト案に対する評価>
Q. 以下の文(コンセプト案)を読んで、あなたはどれくらい購入したいと思いましたか。
Q. 以下の文を読んで、あなたはどれくらい魅力を感じましたか。
Q. 以下の文を読んで、あなたはどれくらい目新しさを感じましたか。
Q. 以下の文を読んで、あなたはどれくらい独自性があると感じましたか。
Q. 以下の文を読んで、あなたはどれくらい信頼できそうと感じましたか。
Q. 以下の文を読んで、あなたはどれくらい商品の内容がわかりやすいと思いましたか。
<相対評価:複数のコンセプト案を比較した場合の評価>
Q. 以下の○つの文(コンセプト案)の中で、あなたが購入したいと思ったものを選んでください。
Q. 以下の○つの文の中で、あなたが魅力的と感じたものを選んでください。
Q. 以下の○つの文の中で、あなたが目新しさを感じたものを選んでください。
Q. 以下の○つの文の中で、あなたが信頼できると感じたものを選んでください。
Q. 以下の○つの文の中で、あなたが商品の内容がわかりやすいと思ったものを選んでください。
<利用場面>
Q. コンセプトAについて、以下のうち利用してみたいと思う場面を選んでください。

コンセプト調査 |
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顧客満足度調査のポイントとサンプル

顧客満足度調査では、商品・サービスに対する総合的な満足度に加え、機能性・デザイン・サービス内容・価格といった各要素別の満足度を聞くことで、自社が重点的に強化・改善すべきことを明らかにすることができます。

また、属性や利用方法による満足度の違いを分析することで、自社の課題を発見することも可能です。

<認知経路>
Q. 商品Aを知ったきっかけを次の中から選んでください。
<総合満足度>
Q. 商品Aについて、あなたはどれくらい満足していますか。
Q. 前問の評価をした理由を教えてください。
<要素別満足度>
Q. 商品Aについて、次のそれぞれの項目においてどれくらい満足していますか。
<利用方法>
Q. 商品Aでもっとも多く使う機能を次の中から選んでください。
Q. 商品Aをもっとも多く使う場面を次の中から選んでください。
<継続意向>
Q. 商品Aを今後も使い続ける可能性はどれくらいありますか。

顧客満足度調査 |
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ネーミング・パッケージ調査のポイントとサンプル

ネーミング・パッケージ調査は、商品のコンセプトがしっかり伝わっているか、ターゲットに受け入れられるかを把握するために実施します。複数のネーミング・パッケージ案を提示して、印象や好感度、購入意向などを把握します。

<ネーミングのイメージ>
Q. ネーミングAから、あなたが連想する商品の特徴はどのようなことですか。
Q. ネーミングAについて、以下の点はどれくらい当てはまりますか。
※想定しているイメージを選択肢として提示する
<ネーミングの好感度>
Q. ネーミングAについて、あなたはどれくらい好きだと感じましたか。
<パッケージのイメージ>
Q. パッケージAについて、以下の点はどれくらい当てはまりますか。
※想定しているイメージを選択肢として提示する
<パッケージの評価>
Q. パッケージAについて、あなたが魅力に感じるのは次のどの点ですか。
※色・形・素材・ロゴ・キャラクターなどの選択肢を提示する
<パッケージの好感度>
Q. あなたはパッケージAにどれくらい好感を持ちましたか。

ネーミング・パッケージ調査 |
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その他の調査票テンプレートもこちらからご覧いただけます。

調査票を作成するときの注意点

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精度の高い調査票とする上で、とくに注意したいのは以下の点です。

回答結果に影響を及ぼす表現をしない

設問文の中に回答結果に影響を及ぼす表現が含まれていないか、十分に注意する必要があります。

たとえば、「あなたはAだと思いますか。」という設問文は誘導的な聞き方であり、回答結果に影響が出る可能性があります。この場合は「あなたはどう思いますか。」とするのが中立的な聞き方です。

曖昧な表現をしない

「いつも」「よく」「最近」「普段」「多い」「少ない」といった表現は人によって捉え方が異なる曖昧な表現のため、避けましょう。

「最近→直近1カ月」「よく→週に1回以上」のように、誰にとっても同じ解釈となるような表現を用います。設問文だけでなく、回答の選択肢を設定する場合も同様です。

調査票の精度を高めて顧客起点のマーケティングを実現

アンケート調査は、顧客起点のマーケティングを実現する上で様々な場面に役立つ手法です。調査票はポイントを押さえることで精度を上げることができます。本記事で紹介したテンプレート・サンプルを参考に、有益なデータ収集にお役立てください。

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