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2015.08.17

マトリクスSDを利用する際の注意点

マトリクスSDは、SD法(セマンティックディファレンシャル法)を用いた複数の設問を一覧表にまとめたものです。 SD法とは、形容詞の対を用いて、評価対象が与える感情的なイメージを、5段階あるいは7段階の尺度を用いて判定する方法です。

人間の感性は曖昧で、明確な数字で判断するのが難しいものですが、SD法であれば、回答者の感覚がどういう傾向にあるかを把握しやすくなります。

しかしながら、実際のアンケートでは、SD法が正しく使われていない例も多く見受けられます。そこで、よくある誤用例とその解決策をご紹介いたします。

<マトリクスSDの誤用例①>

「図1」は、マトリクスSDを使い、左右ともに同じ選択肢を設定してしまった例です。 これだと、回答者は自分の考えにあてはまるのがどちらなのか、答えにくくなってしまいます。

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<解決策>
設問タイプを「マトリクスシングル」に変更して、作り直します。

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「図2」はマトリクスシングルで、選択肢を左側のみに設置しました。 これだと、回答者の考えがマッチする度合いは左側がもっとも高く、右側にいくほど低くなるということが一目瞭然です。 本来、SDではなく、通常のマトリクスで設計すべき内容でした。

<マトリクスSDの誤用例②>

2つめの誤用例は、選択肢がSD法に則っていない場合です。 「図3」の右側の選択肢に注目してください。左側の選択肢を「○○○○ない」と否定形に変えたものが並んでいますが、これだと尺度をはかることは難しくなります。

「図3」をご覧ください。
Q1とQ2の間にあった分岐条件は外れているので、もう一度、条件分岐を設定し直す必要があります。

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<解決策>
SD法を正しく理解して、選択肢を設定します。

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「図4」は、「マトリクスSD」を用い、左右の選択肢には、どちらにより近いか尺度を測るために、対となる言葉を設定したものです。

さらに回答者の視認性を高めるため、「A」「B」と左右の選択肢ごとにコメントを設定するとともに、表上側の選択肢を「Aに近い」「Bに近い」などと修正し、選択肢番号を非表示に切り替えました。

<Point>

マトリクスSDで設問を作成したときは、左右の選択肢が対になっているか、それによって尺度をはかれるかを意識しましょう。 もし、左右の選択肢が対になりにくい場合は、マトリクスシングルやマトリクスマルチに切り替えることをおすすめします。